一、筑前守に、右彼是家中へ申出通、具に可被申候。則書中にも前田對馬・前田修理兩人に申付候通、書付遣候事。
一、金澤諸奉公人面々え、利長存寄候通一書申分候事。
一、知行高召置候面々共之儀者不及申、人持並馬廻組頭・鐵炮弓組頭・小姓番頭以下、無殘聞屆候樣に、其組頭々々召集、可被申渡候。家中諸侍何も自今以後、私之意趣遺恨縱雖有之候、如此申出上者、互に一味同意可令入魂事專一に候。是併公儀御爲令重故、又は筑前守爲存候間、如何樣之儀にて私之宿意雖有之、可止義斷事尤可令滿足由、能々可被申渡事。
一、横山山城守姊娘と神尾主殿助縁邊之事。
一、山城守妹娘と山崎市正と可被申合事。
一、南坊と村井出雲守間、然々(シカシカ)と無之樣に相聞え候條、加樣之間も右之通候間、以來之儀兩人ニ可被申渡事。
一、金澤年寄共其外諸面々より、筑前守並我々誓紙一通充可被請取候事。付、凡案文を遣候。尚以筑前守並年寄共令相談、文言之儀何にても不殘愚意可被引直候。此方えは不入儀に候得共、在世之内と存置恨事。
一、此地に有之面々にも、右之樣子少も無相違樣に可申出候。當分我々傍に召遣候者共事、尚以右之條々申出心持（マヽ）、成其意候樣に可申聞と存候。其通筑前守並年寄共えも可被申渡事。
一、其方兩人儀、自今以後家中諸侍共間惡敷無之樣に、能々可被入情儀肝心候事。
右之外、口上に申渡候趣以下得其意可申渡者也。
五月十五日（慶長十六年）利長
前田對島守（長種）殿
奧村伊豫守（永福）殿
〔武家事紀、三州志等考定〕