十四目利常將に城を出でんとせしに、圉人未だ至らざりしかば、直に奧村永福の馬に乘りて發せり。既にして圉人利常の馬を牽きて追ひ至りしに、利常は日比小兵衞に命じて之を斬らしめ、以て軍神の犧牲とせり。この日手取川の水漲溢し、士卒これを渉りて溺るゝもの多かりき。