上記今枝内記の知行所附は、與力知を含む場合の例として之を掲ぐ。但しその内、四千三百石を加州免三ッ八分、五千五百二十石を越中能州免四ッ二歩五厘四毛と圖(ツモ)りて賜はりたるは特別の優遇にして、折紙高一萬四千石に對し、この所附の免相によりて計算するときは、定納五千六百五十八石五斗八合となり、而して實際に於いて定納五千六百五十八石三斗二升五合を收納し得べき知行所附を與へたるものなり。然れども普通の場合に在りては、加州免は三ッ六歩、越中能州免は四ッ一歩平均とするを原則とし、且つ折紙高に對する各免相の合計は、實際下附せらるゝ知行所の草高に對する定納と正に一致すべきものとす。次に掲ぐる例の如きもの即ち是なり。この所附は、今枝氏の當主が幼年にして、知行の約三分の一に減ぜられたる期間のものに屬す。