定 一、治に亂を忘れざるは武士の本意に候へば、面々武藝に心掛專要たるべき事。 一、兵法の書家々の傳來有之候も、よく其師傳を守り、無怠慢勤學すべき事。 一、弓馬鎗太刀等品々之武藝、其流其師の傳へに從ひ、無懈怠稽古すべし。相弟子優劣之論有まじく候。勿論他流善惡の批判仕まじく、且又勝を好む事稽古之習にても、修練不行屈候ては可勝之理由を我に備ふる事あるまじく、其師にしたがひ藝術成就候道を心掛べき事。 一、武藝衆に抽候とも、忠誠之志無之ては無益之事に候。其心掛肝要たるべき事。 一、爲稽古罷出候人々、作法能相心得、世上之噂無益之雜談不仕、列居等に至まで猥なる儀有間敷事。 右之通り可申渡旨被仰出候也。 寛政四年七月 〔日本教育史資料〕