致遠館の學則は、明治二年英學所として壯猶館内に置かれたる時に定まり、三宅復一の起草せし所なり。 英學校之規定 一、道濟館入塾生十五歳以下、壯猶館中に好次第入塾爲致候事。但し十五歳以上は是迄の通り道濟館に留り候事。 一、十五歳以上にても發音學相學度熱心の面々は、定刻壯猶館へ出席の上稽古爲致候事。 一、新に入塾の分は九歳より十三歳迄五十人計。但し道濟館より御移しの人を加へて六十人計に候事。 一、十三歳以上は算學相始め候事。 一、先一統にスペルリング・ブツク綴書研窮爲致候事。 一、綴書成就の上初級に相進候事。初級第一讀本・第二讀本・第三讀本。二級第四讀本・文法書・地理書。三級第五讀本・第六讀本・窮理書・歴史。 一、學生右三級を越候時は夫々學科相定、兵學・醫學等の學校に移り候事。 一、算術等級、初級數算學、十五點にて一教相進候事。二級點竄學、廿點にて一教相進候事。三級三角術、三十點にて一教相進候事。 一、英語稽古時間、自九時十時迄、晝自一時二時迄。 一、算學稽古時限、晝二時より四時迄。 一、外來稽古人は朝十時より出席、十二時に稽古終り候事。 一、飯時朝八時・晝十二時・夕五時。 一、休日、朔日・六日・十一日・十五日・二十一日・二十六日。右休日は前日稽古濟次第一統歸宅、當日日沒迄に歸塾爲致候事。 一、食後稽古始め候迄休息爲致候事。 一、朝稽古[但九時より十時迄]致し候人々は晝後一時より二時迄復讀爲致、午後稽古の人々は朝復讀爲致候事。 一、午後四時より外出勝手次第、但し五時に歸塾の事。 一、稽古定刻中稽古場に出切の事。 一、入塾の日父兄等と同道、衣服等の儀父兄に申聞置候事。 一、病氣の節は醫者申遣、教授役より詮議の上全快迄退塾爲致候事。 一、夜十時に正敷稽古を終り、十時後發聲讀書無用に候事。但朝六時迄右同斷。 〔日本教育史資料〕