直武子あり、直廉といひ、字は清夫、楓山と號す。才思蓊勃、惜しむらくは中道にして夭す。楓山遺文一卷あり。 旅泊聞雁 荻蘆水口泊弧舟。江泖月明萬頃秋。堪聽酸嘶斷行雁。客愁睡裡到心頭。 不破篤敬、宇は子行、通稱治部右衞門、梅關と號す。伊藤祐之の門人なり。洙泗の道學に篤く、其の詩亦見るべきもの多し。 秋日登雁嶺至夜賞月於牛頭山 白氎之巾青絲履。終日徐歩秋山裡。朝登雁嶺暮牛頭。牛頭由來風景美。上有鬱鬱之蒼松。下有洋洋之緑水。蒼松緑水相映清。又看萬頃田畝平。牛頭風景不可語。秋來明月最得名。濁酒三杯復三杯。醉誦明月明月來。須臾氷輪雲際出。照樹照水金色開。河漢星稀烏鵲散。風露天高鴻雁哀。君不見千古風池仲宣樓。興懷何如此地遊。酒醒看月心轉靜。脱然忘却吾生浮。笑它世上驅馳者。強隨時俗抱百憂。 岡田信之、字は信民、靜山と號す。伊藤祐之に學び、志を經學に篤くすること二十年。人と爲り勤儉にして至孝なり。その著に靜山集ありて、生駒直武之に序せり。 夏日題濁清橋 危石亂山宿雨收。偶携藜技去尋幽。路回兩岸行林杪。橋跨一谿架隴頭。濁浪東來歸渭水。清波南出奪涇流。白雲深處滴空翠。知是此中朋客遊。