吉田茂雅、字は執禮、屏翰と號す。程朱の説を墨守し、謂へらく吾が道の秘薀茲に盡きたりと。高畠慶成・小寺惟孝・伊藤嘏・村瀬又次等の輩と與に、六經四書の討究に沒頭し、文詩を作るを屑とせざりき。 畜徳堂雜懷 涼風送三伏。池上倚林亭。誰識吾心樂。唔伊讀聖經。 井上盛亮、字は文甫、九嶷又は鳳梧と號す。乾祐直の門に遊ぶこと十餘年。盛亮横山隆達の乾乾樓の詩會に臨むときは、老儒先生といへども時に舍を避くることあり。尤も律體に長ぜしが、年三十にして歿す。 蜀將 鼎峙英名從是存。大星難奈落轅門。空憂社稷中興計。不負草廬三顧恩。兵略由來凌管樂。忠誠舊自蓋乾坤。于今墜涙出師表。秋色堪哀五丈原。