不老庵不死丸、本名村田半助、また藤麿とも稱す。加賀の藩士なり。 無題 我思ひたえぬ涙の雨の足ふみ見ることもならぬしのび路 竹不改色 吹く笛の音さへありていく千代もあを葉のまゝに榮ふ此君 餘情庵多民、本名疊屋九郎三郎、金澤の疊工なり。 無題 ふねさゝば棹にくだけん氷かとおもふばかりにすめる月影 竹不改色 子が親にまさりさかゆく竹なればかはらぬ色をあふぐ萬代 人日庵菜摘、本名中神茂兵衞、金澤の人なり。 無題 孟宗の竹のかたみかしら雪をけさかきわけて若菜つむ日は 竹不改色 春秋の風流の色にそまざりし竹のこゝろはゆゝしかりけり 白雲舍高樹、本名中村八郎、加賀藩の足輕なり。 夏艸 川の瀬はかれてゆけども往來するひとのせをこす夏草の波 竹不改色 鶯は音を春ごとに馴れきつゝ色かへぬ竹にやどやかりなむ