切高を爲すに許可を得ず、百姓相對にて之を爲すを下(シタ)切高といふ。法によりて禁止する所とし、若し發覺するときは之を沒收せらる。 質入高とは、借銀等により持高の上に質權を設定せしむるものをいふ。亦法の禁ずる所にして、犯すときは高を沒收し且つ處罰せらる。 別名高とは、戸主たる者の死したる時、寡婦又は娘等は高の所有を認められざるが故に、再び死亡者の名によりて取高し、或は男子なき者にして後にその娘の聟を迎へて別家せしむるが爲、假に人名を設けて取高するをいひ、法によりて許さず。犯すものは高を沒收せらる。 二名高とは、數人の持高なるを表面上一人の持高たらしめ、又は一人の持高なるを假に人名を設けて數人の持高なるが如く假裝するものをいふ。亦犯すものは沒收せらる。 縮高(シマリ)とは、犯罪又は脱走等により沒收せられたる高をいひ、村役人をして作配せしめ、その作徳米は之を賣却して代銀を上納せしむ。但し變死人・牢死人の遺したる高は、場合によりてその男子に與へらるゝことあり。 百姓存命中はその男子に讓高するを禁ぜらる。但し肝煎にして老齡に達したるが爲、同苗合議してその子を肝煎たらしむることに決したる場合の如きは、亦その高をも讓渡することを許さる。同苗とは組合五ヶ村の肝煎なること前に言へり。 寄高とは、他人の高に併合するをいふ。百姓にして死絶するときは、その持高の多少に拘らず成るベく相續者を立てざるべからずといへども、若し相續者を得る能はざるときは、親族等の田に寄高するを許さる。或は子弟に分高して別家せしめたるが、後死絶して相續者を得る能はざりしを以て本家に寄高せしむるの例も亦同じ。