天保九年田地割定書申渡
一、打立竿六尺三寸の御定に候得共、是迄村方に而用來候竿相用候儀不苦候之間、定帳に竿尺何尺と申儀調置可申事。
一、用地割替之儀、二十ヶ年滿不申共、村中納得之上願出候はゞ承屆可申事。
一、地割算者之儀、是迄村どし（同士）近村之素人を相雇、地割等致し候向も有之体。是等は不埒之至りに付、以來繩張誓詞人相雇、右定之通り地元不順無之樣綿密に割替可申事。
但、所々田地割多、繩張人指閊候ば、惣年寄等手前に而誓詞見屆置候者算者に相雇可申事。
一、畝田或惣田抔唱へ、地割之節竿除等致し置地元も有之樣子に付、自然と歩當り少く、以來は右樣之地元不殘惣高に打込、其上納得之上右畝田等改而卸付之儀は勝手次第。且地割取懸り以前、組主付地割人召連領廻致し、領境村役人呼出、境筋紛無之樣地境曲折杭爲打、夫々地割に取懸り可申事。
一、右組主付領廻り之節、隣村と申合地元隱置、後日誰々に不寄見出候に於而者、其地元見出候者之高に可申付候。若外詮議之筋に而相顯候に於而は取揚、手上高に申付、双方村役人等嚴重に可申付事。
一、引田之儀、是迄色々煩敷致引田候村々も有之体。以來居屋敷之外、苗代田御定之通り百石に六反之割を以、持高に應じ引地可致。其餘引田不和成、不殘鬮田に打出し可申候。且又鬮當り田之内、百姓同士替田之儀勝手次第之事。
一、地割人より相渡候田札並歩帳、聊紛敷無之樣致所持、切高致し候節は高證文と一集に可致取遣候。且又田札無之御郡は、歩帳迄切分け相渡可申事。
一、右ヶ條之外蔭引等村定之品々、萬歩帳に夫々一打に調可申。且又田畑上中下十石高當り歩數何程宛と申儀、是亦書分け、其外畦・野毛地共割當り歩數・合盛米書のせ、草案之通り繩張人名前相記置、組主付並廻り口見屆名印致し、村方へ相渡可申事。
一、萬歩帳寫、地割人より組主付へ爲指出可申。古き萬歩帳村方に指置候而は、縮方(シマリ)不行屆候間、組主付へ取立仕抹致し置可申事。
一、先達而申渡置候通り、年久敷不致田地割村々、此節急速取懸り可申事。
但、村方之得手申立不願出候はゞ、組主付より其段可及斷事。
一、地割相濟候上、鬮田合盛之儀、村中一統得と遂宗談、不正無之樣取極、諸卸可致候事。
一、領之内場所に寄、無據江道立替可申ヶ所も有之候はゞ、組主付見分之上夫々相極可申事。
一、畔木等之儀は伐取候樣先達而より嚴重申渡置候へども、中には伐殘格別日蔭に成候分は、地割取懸り以前村中一統示合、其上猶更夫々伐拂可申事。
附、蔭引には植木一圓不相成。若心得違之者致植木置候はゞ、何時に而も見付次第こぎ取可申事。
一、惡水之儀は、田地養に相成候儀に候間、以後新に致家作候者は、領之内まばらに相成候樣心得可申。併猥に田地を潰致家作候儀は不相成、屋敷地も成限歩數相減地取可致事。
一、竿先麻木指之儀は、同苗一致示談之上正直之者相撰、指止可申。不正直者は時々取替可申。尤鬮親順番相立、毎日壹人宛見廻り可申事。
一、鬮組之儀は鬮親相談之上相極可申事。
〔河合録〕
○