歩平均とは、新開等にして地味甚だしく厚薄なき場合に於いて、甲乙丙共に草高十石と稱するも、甲の地積は三千歩、乙は二千歩、丙は千歩なるとき、田地割替の後、新たに甲の草高を十五石、乙を十石、丙を五石と稱せしむるをいふ。 高平均とは、地味に高下の差あるも諸上納は高懸りを以て負據せる場合、即ち甲は下田三千歩、乙は中田二千歩、丙は上田千歩を有して各草高十石と稱したるとき、田地割によりて三人共に上中下田を混ぜるもの二千歩を受け、而して草高は皆舊の如く十石と稱せしむるをいふ。 尻目打とは、一村の惣歩を打揚げ、草高一石に對する實際の地積を算出し、又各人所有の草高と地積との比例を考へ、その少き者より代錢を徴して多き者に與へ、而して田地割により新たに與ふる田地は、各人本來の持高に正比例するが如く分割するをいふ。尻目打とは、各人に損益なからしむる爲、代錢を授受するの義なり。 作徳平均とは、各人の公稱持高同一にして、定納・口米その他の諸掛り隨つて同額なるも、實際の地積を異にするが爲、親作の卸付米と手取作徳米とに差違ある時、田地割によりて持高・地積・卸付米・定納口米・諸懸を各人同一比例ならしめ、而も殘余の手取作徳米を尚舊の如くならしむるをいふ。その算法次の如く、この例にありては免三ッの村と假定せるなり。 一、持高十石、田坪三千歩市兵衞 此卸米十二石[地割に付新に合盛見圖に他]内三石三斗三升六合定納口米。二斗六升四合諸懸り。 殘而八石四斗作徳米。 一、持高十石、田坪二千歩仁兵衞 此卸米八石[地割に付新に合盛見圖に成]内三石三斗一升六合定納口米。二斗六升四合諸懸り。 殘而四石四斗作徳米。 一、持高十石、田坪千歩三兵衞 此卸米四石[地割に付新に合盛見圖に成]内三石三斗三升六合定納口米。二斗六升四合諸懸り。 殘而四斗作徳米 作徳米〆十三石二斗、持高合三十石に割、一石高に付四斗四升。是を以人々作徳を割、持高を仕出す。左の通り。 一、改持高十九石九升一合、田坪三千八百十八歩二分市兵衞 此卸米十五石二斗七升三合[平均合盛四合]内六石三斗六升九合定納口米。五斗四合諸懸り。 殘而八石四斗作徳米。 一、改持高十石、田坪二千歩仁兵衞 此卸米八石[平均合盛四合]内三石三斗三升六合定納口米。二斗六升四合諸懸り。 殘而四石四斗作徳米。 一、改持高九斗九合、田坪百八十一歩八分三兵衞 此卸米七斗二升七合[平均合盛四合]内三斗三合定納口米。二升四合諸懸り。 殘而四石三斗九升九合作徳米。 〔河合録〕