おすすめの本 -新しく出た子どもの本から- 2020年
もくじ
絵本
ねられんねられん かぼちゃのこ
おつきさんに「はやくねなさーい」と言われても、かぼちゃの子は眠れません。
深い青を背景に黄色の月、橙色のかぼちゃがぱっと目をひきます。
「ねられん、ねられん」という言葉のくりかえしが心地よく、とぼけたやりとりと味わいのある絵を楽しめます。
しょうぼうしのくまさん
消防士のくまさんの1日は、ねこに牛乳をあげることから始まります。
木から降りられなくなったねこを助けたり、納屋の火事を消したり、くまさんはみんなのために一生懸命働きます。
愛らしく仕事熱心なくまさんの1日が描かれています。
やっこさんのけんか
色違いの5枚のおりがみから誕生したやっこさんですが、誰が一番上手にできたかを巡ってけんかになります。
おすもうさんや飛行機に姿を変えて勝負するやっこさんがユーモラスに描かれています。
モノクロの背景に5色のおりがみがよく映えています。
4さいのこどもって、なにがすき?
4歳の子どもが好きなものってなんでしょう。
「ジャングルジム」「お誕生日」「風船につかまって空を飛ぶこと」など、4歳の子どもたちが答えてくれます。
子どもたちが大好きなものがたくさん描かれた楽しい絵本です。
うどんできた!
うどんの麺(めん)を家庭で作る様子が描かれています。
うどん粉に塩水を混ぜてしっかりこねて、足で踏んで…。
粉から麺ができていく楽しさを一緒になって味わえます。
巻末に麺の材料や作り方が付いています。ぜひ、家族で作ってみてください。
ねこはすっぽり
かわいらしいねこのしぐさや行動が、「がりがり」「くるくる」「ぴたぴた」などの楽しい擬態語や擬音語で表現されています。
鮮やかな背景の中の白いねこが印象的で、見ていると楽しい気持ちになります。
自由気ままなねこの一日が伸び伸びと描かれています。
ふゆごもりのまえに
ふゆごもりの前、はりねずみのハリーは他の動物たちから楽し気な冬の様子を聞き、冬中起きていようと決めました。
眠気と必死に戦うハリーですが、ある凍える夜に眠ってしまいます。ハリーは冬の景色を見られるのでしょうか。
緻密な絵が美しい絵本です。
トラといっしょに
美術館でトラの絵を見たトムは、うちに帰ると大きなトラを描きました。
その夜、絵の中のトラがトムを散歩に誘います。
月あかりの中、トラと一緒に散歩するうちに、怖がりだったトムが変化していきます。
トムを見るトラの目は優しく、読むと温かい気持ちになります。
ありがとう、アーモ!
アーモが夕飯にシチューを作ると、おいしそうなにおいに誘われて、近所の人たちがやって来ました。
そのたびにアーモが気前よくシチューをふるまっていると、やがて鍋はからっぽに。
シチューが体を温めてくれるように、この絵本は読む人の心を温めてくれます。
山はしっている
一日の変わりゆく景色を描いた美しい絵と心に染み入る静かな文章で、山に生きる動物たちの営みを表現した絵本です。
ページを開いた瞬間から、ゆったりとした時間が流れます。
「生きる」という当たり前の営みが変わらず続くことのすばらしさを感じる1冊です。
昔話
梨の子ペリーナ -イタリアのむかしばなし-
王様に納める梨が足りずに、代わりに納められた女の子はペリーナ(梨の子)と呼ばれ、お城で働いていました。
ある日、王様に魔女の宝物を取ってくるように命じられ、ペリーナは旅立ちます。ペリーナの純真な心と美しい絵が魅力的な1冊です。
九色のしか -中国の昔話-
シルクロードの大画廊といわれる敦煌(とんこう)の石窟(せっくつ)に描かれた壁画を元にしたおはなしです。
王妃は美しい九色の鹿を手に入れようと、薬草とりを森に行かせます。
全編が影絵のように描かれた中で、色彩を活かして表現された鹿の美しさが際立ちます。
ことば
ねんころりん(新版)
一日の終わり、くたくたになったねこやかえる、あかちゃんが、ねんころりんの子守歌で安らかな眠りにつきます。
やわらかな絵と、リズミカルに繰り返される言葉が眠りを誘います。おやすみ前の読み聞かせにぴったりの絵本です。
かぞえてみようどうぶつスポーツたいかい
ねこが2回笛を吹いたら大会の始まりです。
カンガルーの高跳びは6m、クマの重量挙げは10点満点、うさぎの選手は背番号19番…というように、20までの数をかぞえながら動物のスポーツ大会を観戦しましょう。
鮮やかな色づかいの絵が大会の楽しさを盛り上げます。
ノンフィクション
100
「100」っていったいどのくらいでしょう。
積み木や金魚、スーパーボールなどいろいろなものを集めて「100」にし、「1」と見比べていきます。
自然光を活かして撮影された写真が美しく、目にも楽しい一冊です。
ぜひ実際に「100」あるか数えてみてください。
7年目のランドセル -ランドセルは海を越えて、アフガニスタンで始まる新学期-
日本の子どもたちが6年間喜怒哀楽をともにしたランドセルを、アフガニスタンの子どもたちが再利用しています。
写真から、ランドセルを受け取った子どもたちの嬉しそうな様子が伝わってきます。
アフガニスタンの子どもたちのキラキラとした瞳が印象的です。
はじまりはたき火 -火とくらしてきたわたしたち-
火が使えるようになって、人間の暮らしは便利で豊かになりましたが、その一方で大気汚染をはじめとする様々な問題を抱えることにもなりました。
この本では、常に私たちの暮らしを支えてきた火の歴史を楽しい絵と共に紹介しています。
お蚕さんから糸と綿と
お蚕さんが手厚いお世話を受けて育つ様子や、繭から生糸を紡いだり真綿を作ったりする様子が豊富な写真で紹介されています。
私たちは、たくさんのお蚕さんの命と引き換えに生糸や真綿を得ています。
お蚕さんの短い一生から、命の尊さを感じます。
ひろった・あつめたぼくのマツボックリ図鑑
マツの雌花が大きくなったものがマツボックリです。
この本では、いろいろなマツボックリを、大きさ、形、種類などの様々な切り口で紹介しています。緻密に描かれた絵を見るだけでも楽しく、身の回りを注意深く見れば、観察対象は身近にあることに気付かされます。
珪藻美術館 -ちいさな・ちいさな・ガラスの世界-
珪藻とは、水中にいる「藻」のなかまで、0.1mmにも満たない小さな生き物です。
世界中に数万種いると考えられています。
作者の奥修さんは、珪藻を採集して並べ、アートを作っています。肉眼ではなく顕微鏡で見る、繊細で美しい作品がこの1冊に詰まっています。
セント・キルダの子
スコットランドから160km離れたセント・キルダ諸島には現在は誰も住んでいませんが、1930年代までは人が暮らし、島の人々は一つの大きな家族のように固い絆で結ばれていました。セント・キルダ諸島の自然や在りし日の人々の生活が美しい版画で紹介されています。
感染爆発(改訂版) -見えざる敵=ウイルスに挑む―
約100年前、世界各地でインフルエンザが大流行し、数千万人が命を落としました。
ウイルスとは何なのか、なぜこんな恐ろしいことが起こったのか。
科学者たちが目に見えない未知の脅威に挑み、その解明に向けて懸命に取り組む姿が記されています。
フィクション
雨の日は、いっしょに
主人公の「ぼく」は、ハルくんの黄色いかさです。ある日、ハルくんが転んだ拍子にかさは風に乗って遠くに飛ばされてしまいました。
違う人のかさになっていつもと違う景色を見たいと思っていたかさですが、冒険をするうちに大切なことに気づきます。
かしこいうさぎのローズバッド
うさぎのローズバットが読んだ動物の本には、うさぎは臆病ですぐ逃げると書かれていました。
怒ったローズバットは、自分たちが勇敢であることを証明するために大きなクジラとゾウに綱引きを挑みます。
あっと驚く結末が待っている、痛快なお話です。
デイビッド・マックチーバーと29ひきの犬
新しい町に引っ越したばかりのデイビッドは、知っている人も友だちもいなくて少し憂うつです。
そんなある日、おつかいに出かけた帰りにお肉を落としてしまい、それをきっかけに町中が大騒ぎになります。
けれどもそれは、すてきなことの始まりでした。
おひめさまになったワニ
コーラ姫はりっぱな女王になるための勉強や運動で忙しく、自由のない毎日にうんざりしていました。
そんな姫を助けに来たのはなんと一匹のワニでした。
コーラ姫の代わりにお姫様になったワニがお城で起こす滅茶苦茶な騒動が姫やお城の人々を変えていきます。
戦争にいったうま(改訂版)
第二次世界大戦中、150万頭もの馬が軍馬として日本から中国大陸へ送られ、その多くが帰ってきませんでした。
この物語は、戦争を生き抜き、奇跡的に飼い主の家に生還した馬の実話をもとにしています。
人間と動物との絆、すべての生命の尊さに心打たれます。
おじいちゃんとの最後の旅
おじいちゃんとぼくは大の仲良し。
入院しているおじいちゃんは、死ぬ前に、おばあちゃんと二人で暮らしていた島の家に行きたいと言い出し、ぼくはある計画を立てます。
おじいちゃんを思うぼくの切ない気持ちが、ユーモアを交えながらしみじみと描かれています。
クリスマスの小屋 -アイルランドの妖精のおはなし-
みなしごとして育ったオーナは、村中の家を転々としながら、困っている人を助けて暮らしていました。
彼女は自分の家を持つことを切望しながらもかなえられないまま年老いていきますが、ある年のクリスマスに、妖精がとっておきのプレゼントを贈ってくれます。
ぼくと石の兵士
オーエンの楽しみは、戦没者記念庭園にある石の兵士と話すことです。
ところが庭園の改修が決まり、兵士は取り壊されることになってしまいました。
兵士を救うために、オーエンは勇気を出してある行動をします。
オーエンの成長と人々の優しさが描かれています。
キャラメル色のわたし
黒人の父と白人の母の間に生まれたイザベラは、両親の離婚によって一週間ごとに互いの家を行き来する生活を送っています。
大好きなピアノを弾くことが彼女の心の支えです。11才のイザベラの日常を通して、アメリカ社会の人種差別問題を描いています。
ハジメテヒラク
あみは、周囲の状況を心の中で実況する「脳内実況」が趣味です。
一歩引いた目線で周りを観察することに心地よさを感じていましたが、中学校の生け花部で活動するうちに人と関わることの大切さに気づきます。
あみの成長する姿がさわやかに描かれた青春の物語です。
橋の上の子どもたち
ある晩、ヴィジとラクの姉妹は父親の暴力から逃げるために家出します。
街に出た二人は、ゴミひろいをしてわずかなお金をかせぎますが、大きな危険にさらされます。
二人の物語は、世界には路上で暮らす貧しい子どもがたくさんいることを教えてくれます。
おいで、アラスカ!
てんかんを患う少年・スフェンと、ある事件によって心に傷を負った少女・パーケル。
二人は次の瞬間なにが起こるか分からない不安に苛まれていました。
犬のアラスカを通して友情を育み、不安を乗り越え自分自身を認められるようになる二人の姿が描かれています。
チェリーシュリンプ -わたしは、わたし-
些細なことがきっかけで、ダヒョンは仲良しグループから仲間外れにされてしまいました。
彼女は悩み苦しみながら、友人関係や自分らしさを見つめ直していきます。
韓国の中学校を舞台に描かれる「10代の悩み」に共感し、悩みに向き合う勇気をもらえる物語です。
オオカミの旅
主人公のオオカミ・スウィフトは、よその群れの襲撃によって家族や仲間を失い、故郷を離れ放浪することになります。過酷な旅を経験し、誇り高く成長していくスウィフトを応援したくなります。
自然界を繊細に描いた挿絵が物語の壮大なテーマを感じさせます。
天邪鬼な皇子と唐の黒猫
人語を話す猫のクロは、ひょんなことから唐の国から倭の国へと渡り、今上天皇の皇子・定省(さだみ)のもとで暮らすことになりました。
平安時代を舞台に、史実を元にした人間社会の権力闘争を、猫のなわばり争いに絡めてコミカルに描いています。
ぼくだけのぶちまけ日記
兄が起こした事件のために、ヘンリーと父親はバンクーバーに引っ越してきました。
心に傷を負ったヘンリーたちは、新しい出会いの中で少しずつ事件に向き合うようになっていきます。
ヘンリーの繊細な心の動きが、日記という形式で巧みに表現されています。