おすすめの本 -新しく出た子どもの本から- 2019年
もくじ
絵本
かくれんぼでもういいかい-じゅんちゃんとおともだち-
かくれんぼしたくなったじゅんちゃんは、目をつぶって「もういいかい」と言ってみました。
すると、「もういいよ」という声が聞こえました。いろいろな場所に、いろいろな動物が隠れています。
じゅんちゃんと一緒にわくわくしながら動物を探しましょう。
ぺんぎんのぴむとぽむ
氷の国のペンギン、ぴむとぽむは、ある日、違う国を見るために氷のいかだで旅に出ました。
初めは順調な旅でしたが、だんだんといかだが溶けてきて…。はっきりした色づかいの絵と少しドキドキする楽しいお話の絵本は、小さな人への読み聞かせにぴったりです。
なんにかわるかな? -もじのないえほん-
カラフルな2体の人形が積木を組み立てたり組み直したりしています。
文字はありませんが、ページをめくりながら人形たちと一緒にハラハラしたり、ほっとしたりして冒険を楽しめます。
読む人が自由にお話をふくらますことができる絵本です。
みーんなねちゃった?
子どもはそろそろ眠る時間なのに、聞きたいことがいっぱいで眠れません。
「ママ、みんなねちゃったの?」「ひよこたち、はみがきした?」「おひさまってどんなパジャマきるの?」子どもとお母さんのユーモラスなかけ合いとイラスト風の絵が魅力の絵本です。
せんせい
子どもたちの目から見ると先生は、馬だったり、オニだったり、看護婦さんだったり、その時々で姿が変わります。
どんな姿の時でも、子どもたちは自分たちに真剣に向き合ってくれる先生が大好きです。
子どもが先生に抱く信頼感や愛情を感じる一冊です。
もりのおうちのきいちごジュース
森のはずれに真っ赤な屋根のおうちができましたが、誰が住んでいるのかみんな知りません。
ライオンとキリンがおうちを見にいくと「きいちごジュース」という木札が立っていました。
いったい誰が住んでいるのでしょう。動物たちの掛け合いが楽しい絵本です。
しろとくろ
白ねこが野原を散策していると、黒い犬に出会いました。
黒い犬と出会って、白ねこの世界は広がっていきます。
誰かと出会う喜びや誰かを好きになった時に感じる切なさが、「なんでなんで」とくりかえされる言葉と躍動感あふれる絵で表現されています。
ヒキガエルがいく
産卵の季節を迎えたヒキガエルが一匹、また一匹と集まってくる様子が太鼓の音で表現されています。
細密に描写されたヒキガエルの存在感が強く、表紙のヒキガエルの顔から目が離せません。
ヒキガエルたちの行動に、神秘的な生命のつながりを感じます。
くろはおうさま
視覚的に「読む」だけではなく、紙に触れることで「読む」ことができる点字絵本です。
特殊なインクで立体的に印刷された絵も、触って楽しむことができます。
目で見るだけではなく、味や手触り、においなどからも色を感じることができるのだと教えてくれます。
チェクポ -おばあちゃんがくれたたいせつなつつみ-
オギが通学かばんとして使っているチェクポ(風呂敷のような布)は、おばあちゃんが作ってくれたものです。
それを友だちのダヒにからかわれ、大げんかになりました。
韓国の美しい農村の風景を描いた絵が、そこに暮らす人々の息づかいまで感じさせてくれます。
とんでいったふうせんは
みんなが思い出という風船を持っています。「ぼく」も持っています。でも、この頃おじいちゃんは、たくさん持っていた風船をどんどん飛ばしてしまいます。
主人公と同じような体験をしている人、これからするであろう人にぜひ読んでほしい絵本です。
昔話・ことば・詩
こたろうぎつね -『月津校下むかし話』より-
小松に伝わる昔話です。「こうこう」と鳴くので村人たちにこたろうぎつねと呼ばれた狐がいました。
こたろうぎつねは村人たちと助け合って暮らし、いつまでも村人たちを守ってくれました。
方言で書かれた文章とあたたかな印象の絵がよく合っています。
ノロウェイの黒牛 -イギリス・スコットランドのむかしばなし-
自分の失言から、末娘は身の毛もよだつ怪物「ノロウェイの黒牛」と結婚することになりました。黒牛に連れられ旅をする途中、娘は黒牛にかけられた呪いを知ります。
お互いの優しさと愛情で、その呪いを解こうとしますが…。ロマンチックな昔話です。
ノウサギのムトゥラ -南部アフリカのむかしばなし-
ムトゥラは小さいけれどもとても賢いノウサギです。自分よりもずっと大きなゾウや、ずっと強いライオンも知恵をしぼって出し抜きます。
次はどんな方法でピンチを切り抜けるのか、ムトゥラから目が離せません。アフリカに伝わる楽しい昔話です。
あそびうたするものこのゆびとまれ/あそびうたするものよっといで
「あがりめさがりめ」「どちらにしようかな」など、長い間、子どもたちに親しまれ、歌われてきた「あそびうた」がたくさん紹介されています。
巻末にはそれぞれのあそびうたの解説や遊び方も書かれています。お子さんと一緒に読んで遊んでみてください。
ABCうさぎ
ねどこを飛び出したうさぎが進んでいく様子が、AからZのアルファベットで始まる単語を使って表現されています。
モノトーンの繊細な絵に対し、赤い文字の英単語が際立っています。1933年に出版されたこの絵本は、今でも多くの子どもたちに読まれています。
どうぶつたちのナンセンス絵本
この本には、オカピやエミュー、マナティなど、動物園や水族館で見かける様々な動物たちが登場します。
でもこの絵本の動物たちは、私たちが知っている姿とは少し違います。
ユーモラスな詩にあたたかみのあるモノクロの線画が添えられた楽しい絵本です。
ノンフィクション
イワシ -むれでいきるさかな-
イワシはたくさんの卵を産みますが、他の生き物に食べられたり、人間に捕えられたりするために、生きのびることができるのはごくわずかです。
それでも、イワシが絶滅しないのはなぜでしょうか。イワシの一生の物語を追いながら、生態を学ぶことができます。
ふゆとみずのまほうこおり
空気がどんどん冷たくなり、気温が0℃以下になると、様々な場所に氷が張り始めます。
その形や大きさは生まれる場所や寒さによって変わり、バラエティに富んでいて、まるで魔法のようです。
自然が生み出す芸術を写真とわかりやすい文章で紹介している本です。
ドーナツのあなのはなし
ドーナツにはなぜ穴があいているのか知っていますか。穴あきドーナツは、ハンソン・クロケット・グレゴリーという名の船長がまだコックの助手だった時に、ある問題を解決するために発明したのです。
楽しいイラストでたどる、知られざるドーナツ誕生の話です。
ぼくたちはみんな旅をする
ザトウクジラ、ワタリアホウドリ、コウテイペンギンなど、様々な動物たちの旅の様子が紹介されています。
どの動物もそれぞれの目的のために、長い距離を移動します。
懸命に前へ進む動物たちの力強さが、絵からも伝わってきます。
火山はめざめる
長野県と群馬県にまたがる浅間山をモデルにした火山のお話です。4つの時代を取り上げ、噴火の様子や周辺の地形の変化を紹介しています。
私たちがいま生活している大地や見慣れている山々の成り立ちなど、はるか昔から続く自然の営みについて興味がわきます。
エベレスト -命・祈り・挑戦-
ふもと、高山地帯、山頂と標高ごとに変わる山の表情から、ヒマラヤ山中をうろつくといわれるイエティ伝説、探検史、近年問題となっている環境問題まで、神秘の山エベレストのすべてを紹介しています。
ダイナミックなイラストが想像力をかきたてます。
戦場の秘密図書館 -シリアに残された希望-
シリアの内戦により政府軍に包囲されたダラヤの町で、爆撃にあいながらも監視をかいくぐって本を集め、地下に図書館を設立した青年たちがいました。
ダラヤの町の人々の知識や教養を守ろうと危険を覚悟で活動する彼らの努力や想いがつづられています。
世界のいまを伝えたい -フォトジャーナリスト久保田弘信-
著者は、少年時代には物理学者を夢見ていました。
しかし、大学時代の写真スタジオでのアルバイトの経験を経て、神様に導かれるようにカメラマンとなり、やがて戦場を取材するようになります。
彼を取材へと駆り立てた戦場の様子が生々しく描かれています。
よみがえった奇跡の紅型
紅型(びんがた)は沖縄の伝統的な染め物です。
琉球王国の時代に完成しましたが、明治になり王国が滅亡するとしだいに衰退し、太平洋戦争で型紙や道具類も消失してしまいした。
紅型に魅せられ、戦後、再生に尽力した三人の業績がつづられています。
フィクション
ヤナギ通りのおばけやしき
ヤナギ通りに、おばけやしきと呼ばれる一軒の家がありました。ある年のハロウィンの夜、リリーとビリーの姉弟はその家に灯りがともっているのを見つけ、行ってみることにします。
二人を待っていたもの何でしょうか。読み終わると優しい気持ちになるお話です。
やぎこ先生いちねんせい
やぎやま小学校1年の担任、やぎこ先生も先生の1年生です。ちょっと頼りなくて校長先生に叱られてばかりですが、そのたびに子どもたちが助けてくれます。
やぎこ先生と先生を大好きな子どもたちの1年間が、明るく、あたたかくつづられています。
あたまをつかった小さなおばあさんがんばる/あたまをつかった小さなおばあさんのんびりする
『あたまをつかった小さなおばあさん』の続編2冊です。
おばあさんは頭を使って、赤ちゃん象のために快適な小屋を作ったり、上手にスキーを滑る方法を思いついたりします。
思わず笑ってしまうような頭の使いをするおばあさんの活躍が描かれています。
ねこと王さま
ドラゴンのせいでお城が燃えてしまった王さまは、友だちのねこと二人で、小さな家で暮らすことになりました。
王さまを思いやるねこやお隣のクロムウェル一家との交流に心があたたかくなります。
お話の雰囲気に合った楽しいさし絵がたくさん添えられています。
金魚ははらぺこっ!!
引っ越しの途中で、飼っていた金魚が死に、エリナーは落ち込みます。
引っ越しをすることにも不満だったエリナーは、前の家に戻るために、新しく友だちになったオーウェンに家出の協力を頼みます。
8歳の元気な女の子と7歳の内気な男の子の楽しいお話です。
しずくの首飾り
北風がくれた雨にぬれない首飾りや空飛ぶアップル・パイなど、不思議なものが次々に飛び出す世界。
イギリスのファンタジー作家エイキンの童話集は、魔法に満ちた物語をたっぷりと楽しめます。影絵のような美しいさし絵も物語にぴったりです。
希望の図書館
1940年代半ば、黒人の少年ラングストンは母を亡くし、父と一緒に南部のアラバマからシカゴにひっこしてきました。
そこで彼は、誰もが自由に入れる図書館を見つけます。
黒人差別の根強かった時代のシカゴの公共図書館が舞台です。
徳治郎とボク
「ボク」のお祖父ちゃんは、頑固者で家族にも愛想がなくマイペース。
そんなお祖父ちゃんは「ボク」に、餓鬼大将だった自分の少年時代の話をたくさん聞かせてくれました。
祖父と孫の交流を軸に、人の生き方や家族の在り方を描いた胸を打たれる一冊です。
いつか、太陽の船
海翔(かいと)は幼いころに宮城県の気仙沼で被災し、家族で北海道の根室に移住しました。
6年前の震災を思い出すと、海翔は今でもつらくなります。
周りの大人たちのあたたかさの中で、震災の記憶を乗り越えようとする海翔の姿が描かれています。
星くずクライミング
ある大会の決勝戦で負けたことがきっかけで、クライミングへの情熱を失いかけていたあかり。
視覚障害のあるクライマー・昴(すばる)と出会い、あかりは再びクライミングと向き合います。
二人がお互いを理解し共に成長していく姿がさわやかに描かれています。
桜の木の見える場所
少しずつ視力が失われる難病を抱えた少女マファルダの語りで物語は進んでいきます。
やがて目が見えなくなるという恐怖と戦いながら、家族や愛読書、友人たちに支えられて強く成長するマファルダの姿に、人間の可能性を強く感じる1冊です。
最後のドラゴン
孤独な少女マギーとドラゴンのグリシャはウィーンで出会い、種族を超えた友情で結ばれました。
かつてウィーンにいたはずのドラゴンたちを探すうちに、二人はある秘密を知ります。
友情とは何か、大切な友だちのためになにをすべきかを考えさせてくれます。
天を掃け
モンゴル育ちの駿馬(しゅま)は、転入した日本の中学校で陸上部のエースとして期待されていました。
しかし、ケガと精神的な理由で走れなくなってしまいます。
そんな時、一人で小惑星を探すすばるに出会い、もう一度、走ることへの情熱を取り戻していきます。
きみの存在を意識する
文字を読むことが苦手なひすい、性別で区別されることに違和感がある理来(りき)、化学物質過敏症の留美名(るみな)など、生きづらさを感じている中学2年生の子どもたちが登場します。
それぞれの心の痛みを丁寧に描いた連作短編集です。
秘密をもてないわたし
14歳のジェマは脳性マヒのため、話すことも体を動かすこともできませんが、里子として一緒に暮らす家族や介護ヘルパーのサラが大好きです。
ある日、サラの恋人のダンが自分は人殺しだとジェマに告げたことで、彼女の日常は一変します。
スリリングな物語です。
明日をさがす旅 -故郷を追われた子どもたち-ある晴れた夏の朝
ヨーゼフ、イサベル、マフムード、生きている時代も国も違う三人が、故国を追われ、難民となって旅をします。
苦難の末に、三人はどこにたどりつくのでしょうか。人の優しさ、恐ろしさが描かれ、人とは何か、平和とは何かを考えさせられます。