おすすめの本 -新しく出た子どもの本から- 2018年
もくじ
絵本
ぶんぶんぶるるん 改訂新版
みつばちがちくりとおうしを刺したことから、牧場では次々と騒ぎが起こります。
果たしてこの騒ぎはおさまるのでしょうか。動物たちのユーモラスな表情が、お話のおもしろさをより引き立てています。
スタンリーとちいさな火星人
お母さんがとまりがけで出かけると、スタンリーは宇宙船に乗り、火星に向かいました。一方、地球にはスタンリーそっくりの火星人が現れます。
火星人はやりたい放題ですが、お母さんが帰って来ると…。母親を思う男の子が微笑ましく描かれています。
クレーンからおりなさい!!
バートは工事現場を見るのが大好きな男の子です。
ある日、柵をくぐって工事現場に入り、ロードローラーやクレーンに乗って大暴れしますが、それには理由がありました。
親子で絵をじっくり見ながら楽しんでほしい絵本です。
フランクリンの空とぶ本やさん
フランクリンは本を読むことも本を読んであげることも大好きなドラゴンです。
町の人には怖がられていましたが、本とドラゴンを好きな女の子と出会い、二人で本屋さんを作ることにしました。
カタカタカタ -おばあちゃんのたからもの-
おばあちゃんのミシンは、カタカタカタと動いていろんな物を作ってくれます。
でも、クラスの劇の衣装を作っている時、ミシンが壊れてしまいました。おばあちゃんは「だいじょうぶ」と言うけれど…。
おばあちゃんと女の子のやり取りが、温かく描かれています。
せかいでさいしょのポテトチップス
料理自慢のクラムさんのレストランに、ポテトだけを注文するお客さんがやってきました。
お客さんに何度もポテトのお皿をつき返されたクラムさんは、あるいたずらを思いつきます。
読み終えると、ポテトチップスが食べたくなります。
くらやみのゾウ -ペルシャのふるい詩から-
大金持ちの商人がインドから連れてきた不思議な生き物を見ようと、村人たちは、くらの中にもぐりこみます。
暗やみの中で生き物にさわった村人たちは、その正体をめぐって議論を始めました。不思議な生き物とは、いったい何なのでしょう。
わたしたちだけのときは
カナダでは先住民族への同化政策が行われていた時代がありました。
子どもたちは寄宿学校に強制的に入学させられ、自分たち民族の言葉を話すことを禁じられていました。
同化政策に対する子どもたちのささやかな抵抗が、美しい絵と文章でつづられています。
昔話・詩
ねーずみねーずみどーこいきゃ?
歌にあわせて、ねずみ、うさぎ、こぐまが自分の巣に向かいます。巣では、お母さんが待っていてくれます。
はなちゃんはたったかとっとこ歩いて、どこへ行くのでしょうか。親子のふれあいを楽しめる絵本です。
さとやまさん
里山とは、人が暮らす場所の近くにあって、人の生活に結びついた山や森林のことです。
詩人の工藤直子さんは、里山への親しみと感謝をこめて「さとやまさん」と呼びかけています。
里山の四季の風景、動物や植物の姿を美しい写真と詩で紹介しています。
黄金りゅうと天女
昔、沖縄の慶留間(げるま)に、可愛(かなー)という少女がいました。
かしこい可愛は村の人々に愛されますが、7歳の誕生日の朝、金色の竜の背中に乗って姿を消してしまいます。
沖縄に伝わる、スケールの大きな民話です。
巨人の花よめ -スウェーデン・サーメのむかしばなし
スウェーデンに伝わる昔話です。
サーメ人のチャルミはトナカイたちとの暮らしに満足していましたが、ある日、山に住む巨人が美しいチャルミに結婚を申し込みます。
色鮮やかなサーメ人の民族衣装が印象的な絵本です。
ノンフィクション
にゅうどうぐも
ある夏の日の「入道雲」の発生から消滅までを描いた絵本です。
縦開きの画面で、雷や激しい雨、雨あがりの虹などが鮮やかに表現されています。
巻末には解説があり、入道雲について深く理解することができるでしょう。
水草の森 -プランクトンの絵本- 新装版
幻想的に見える水中ですが、そこは、食べる・食べられるという関係にある生き物たちが住む世界です。
プランクトンも、そのような世界で生きています。
緻密に描かれたプランクトンが美しく、すみずみまで楽しみたい絵本です。
大統領を動かした女性ルース・ギンズバーグ -男女差別とたたかう最高裁判事-
ルース・ギンズバーグは、アメリカで女性差別が強かった時代に弁護士になりました。
行く先々で差別に合いながらも困難に負けずに立ち向かい、1993年に60歳で女性として史上二人目の最高裁判所女性判事に任命されました。
ハチごはん -季節のごちそう-
岐阜県の山間部ではハチを「ヘボ」と呼び、食用にしています。
ハチを食べることは、地中の巣を探す「ハチ追い」やハチを飼育することと共に、地域に根付いた文化です。
伝統文化としての昆虫食を紹介した写真絵本です。
しあわせの牛乳 -牛もしあわせ!おれもしあわせ!-
なかほら牧場では牛たちが広い牧場内でのびのびと放牧されています。牧場主の中洞さんは、長い時間をかけ、苦労を重ねて放牧酪農を実現させました。
何度も挫折しながらも、牛たちの幸せのために努力してきた記録がつづられています。
みんなちがって、それでいい -パラ陸上から私が教わったこと-
重本沙絵さんは、生まれつき右腕が短い女性です。
ハンドボールに情熱を注いでいましたが、大学生の時、陸上競技でパラリンピック出場を目指すことになりました。
沙絵さんの生き方は、私たちに、違いを認め合うことの大切さを教えてくれます。
モスクへおいでよ
渋谷にはイスラム教のモスク「東京ジャーミイ」があります。
本書では、そのモスクの案内人・下山茂さんの活動を紹介しています。
下山さんの活動を通して、イスラーム(イスラム教)についての正しい知識を得、理解を深めることができます。
ヒロシマをのこす -平和記念資料館をつくった人・長岡省吾-
地質学者の長岡省吾は、原爆投下後の広島市内を歩き回り、被爆した石や遺品を集め続けました。
初め、長岡の行動は理解されず批判を受けますが、悲劇を後世に伝え、平和を守ろうとする信念は、やがて広島平和記念資料館の誕生へとつながりました。
かならずお返事書くからね
ペンパル・プログラムの授業で、アメリカの少女・ケイトリンはジンバブエに住む少年・マーティンと文通を始めました。
育った国、文化、習慣などの違いを乗り越えて二人は心を通わせ、固い友情で結ばれていきます。
フィクション
ねこの商売
おまんじゅう屋さんの幸福堂に、「まねきねこ派遣協会」から、みけという猫がやってきました。
客引きが得意だというみけは、お客さんが少なくて困っていた幸福堂の「まねきねこ」になってくれるのでしょうか。
イースターのたまごの木
イースターは、キリスト教の春のお祭りです。ケイティはおばあちゃんの家でイースターの卵をさがしますが、なかなか見つけられません。
屋根裏でようやく見つけた卵にはすてきな絵が描かれていました。楽しいイースターの様子が伝わってきます。
ふたごのカウボーイ
双子のネッドとドニーはカウボーイごっこが大好きです。
ある日、オクラホマ牧場のカウボーイ、スティーブとジムになって町へ冒険に出かけますが、迷子になってしまいました。
双子が巻き起こす混乱が楽しいお話です。
パイパーさんのバス
バスの運転手パイパーさんは、一人暮らしをさびしく感じていました。
そんなパイパーさんの元に、ある時、犬、猫、ひよこが迷いこんできます。
いっしょに暮したいと思うパイパーさんでしたが、もらい手を探すために動物たちと旅に出ることにしました
ケイゾウさんの春・夏・秋・冬
幼稚園の庭にある家で暮らすにわとりのケイゾウさんには、四季それぞれに嫌いなものがあります。
いっしょに暮らすうさぎのみみことの友情や、子どもたちとの交流が微笑ましい4つのお話がつづられています。
ぼくらの山の学校
友だちとの行き違いが原因で、壮太は学校にも家にも居場所をなくしてしまいました。
そんな時、テレビで山村留学センターを知り、そこへの入所を決めます。
大人も子どもも互いに深く関わり合う共同生活の中で、壮太は「ぼくの居場所」を育てていきます。
ジュリアが糸をつむいだ日
韓国系アメリカ人のジュリアは、親友といっしょに、卵からカイコを育て、生糸をとる自由研究をします。
「韓国っぽい」からやりたくなかった研究ですが、その体験を通してジュリアは自分のルーツに向き合い、差別意識について考えるようになります。
流星と稲妻
異なる性格の同級生、善太(ぜんた)と宝(たから)が、剣道を軸に友情を育みながら成長していく物語です。
息詰まるような試合中の心理描写からは、剣道そのものの魅力を十分に感じることができます。
キツネのパックス -愛をさがして-
ピーターとキツネのパックスは固い絆で結ばれていましたが、離れ離れになってしまいました。
ピーターはパックスを探すためにおじいちゃんの家を抜け出します。
お互いを思いながら、新しい環境で成長していく男の子とキツネの姿が感動的に描かれています。
願いごとの樹
レッドは「願いごとの樹」と呼ばれているオークの木です。
人々は願い事を書いた紙や布切れなどをレッドの枝に結びます。近所に住むサマールも、レッドにあるお願いをしました。
レッドはサマールの願いをかなえることができるのでしょうか。
あたしが乗った列車は進む
母と祖母を亡くし、大おじさんに引き取られることになった12歳の「あたし」。
投げやりな気持ちで大おじさんの住むシカゴへ向かう列車に乗りますが、そこで「あたし」は素敵な人たちに出会います。
明るい未来を感じさせる結末が胸に残ります。
泥
ある日の放課後、立ち入り禁止の森で、タマヤとマーシャルはいじめっ子のチャドに追いかけられました。
タマヤたちは逃げ帰りますが、チャドは行方不明になってしまいます。
タマヤたちは、チャドを助けるために再び森へ向かいますが・・・。
その魔球に、まだ名はない
魔球の決め球をもつ無敵のピッチャー・ゴードンは、ある理由でリトルリーグへの入団を断られました。
理由に納得のできないゴードンは、入団を認めさせるために奮闘します。
ゴードンを理解し支える母親が頼もしく、親子で読んで語り合ってほしい物語です。
地図を広げて
両親の離婚によって離れて暮らしていた鈴と弟の圭は、お母さんの死後、再びいっしょに暮らすことになりました。
鈴と圭は、圭の中に残るお母さんの記憶をたどりながら、心の距離を縮めていきます。
圭を気づかう鈴の心の動きが繊細に描かれています。
リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ
マレーシアからの帰国子女の沙弥は、日本の中学校に慣れることに苦心しています。
そんな時、沙弥は「督促女王」こと佐藤先輩に「ギンコウ」に誘われました。「ギンコウ」とはどこでしょう。
謎めいたタイトルの意味とともに、読んで答えを見つけてください。
ある晴れた夏の朝
原爆投下の是非をめぐり、アメリカの高校で公開討論会が開かれました。
肯定派と否定派に分かれ、8人の高校生がそれぞれの立場で意見を交わします。
戦争や人種差別などについて様々な考え方があることを知り、自分自身でも深く考えるきっかけになる物語です。
むこう岸
和真は、私立難関中学の授業についていけず、3年生で公立学校に転校します。そこには、生活保護家庭の樹希(いつき)がいました。
家庭環境の違いから反発しあう二人でしたが、次第に「貧困」とそれにともなう様々な問題をいっしょに考えるようになります。
エヴリデイ
主人公のAは、毎朝違う人物として目覚め、一日だけその人として生きる毎日を繰り返しています。そんなAがリアノンという女の子に恋をしました。
自分の体を持てないAと、Aにひかれていくリアノンとの切ないラブストーリーです。
サイド・トラック -走るのニガテなぼくのランニング日記-
注意欠陥障害があるジョセフは、運動が苦手なのに中学の陸上チームに入ることになってしまいました。
祖父や陸上チームの監督・T先生に励まされ、仲間たちとクロスカントリーに挑戦するジョセフの成長が、軽やかに描かれています。
ぼくたちは幽霊じゃない
イタリアに暮らすヴィキと家族は、アルバニアからの不法滞在者です。
ヴィキたちは警察の影におびえ、息をひそめて幽霊のように暮らさなくてはなりません。
そんなヴィキにとって、誰もが平等だと思える場所は学校でした。
その年、わたしは嘘をおぼえた
アナベルの住む村に引っ越してきた14歳のベティは、悪意に満ちた少女でした。
11歳のアナベルは、ベティの悪意から自分を守ろうと小さな嘘を重ねますが、やがて自分の信じる正義のために大きな嘘をつくことになります。
「嘘」とは何なのかを考えさせられます。