おすすめの本 -新しく出た子どもの本から- 2017年
もくじ
絵本
きみもこねこなの?
4匹の子猫のところに子犬がやってきました。子犬は自分も猫になったつもりでいっしょに遊びますが、子猫のように身軽には動けません。
表情豊かに描かれた子猫や子犬の様子がほほえましく、くりかえし読みたくなります。
あかがいちばん 新装改訂版
主人公は赤いものが大好きな女の子。
おかあさんに別の色をすすめられても、やっぱり赤がいいのです。赤いものが好きなのには、ちゃんと理由があります。
幼くても自分なりの価値観を持っていることに気づかされます。
ぼくのおおきさ (はじめてのかがくえほん)
「大きい」「小さい」ってどういうことなのでしょう。
疑問に思ったトッチに、ばあばは、おもしろい話を聞かせてくれました。
見る人や立場によって、世界の見え方が異なることをやさしく教えてくれます。
このあいだになにがあった? (かがくのとも絵本)
ひっくりかえったカメは、どうやってもとに戻ったのでしょうか。
お子さんといっしょに、何があったのか想像してみてください。
ある状況が大きく変化する様子をとらえた写真絵本です。
がっこうだってどきどきしてる
新学期が始まってどきどきするのは、子どもたちだけではありません。
新しくできた学校も、自分がどんなところか分からずに、どきどきしているのです。
新しい生活に緊張している子どもたちをはげましてくれそうな絵本です。
手おけのふくろう (日本傑作絵本シリーズ)
サクラの木が倒れ、巣を失ったフクロウの夫婦は、古びた手おけの中で子育てをすることになりました。
厳しい自然の中で、子どもたちを守り育てるフクロウの力強い姿が描かれています。
じょやのかね (日本傑作絵本シリーズ)
大晦日の夜、男の子がパパと暗い道を静かに歩いています。新しい年の始まりを見るためにお寺に行くのです。
お経の声に続いて除夜の鐘の音も聞こえてきました。木版画が厳かな雰囲気をよく表しています。
クマと森のピアノ (ポプラせかいの絵本)
くまのブラウンは、森を出て、街でピアニストとして成功しましたが、次第に、森やかつての仲間たちが懐かしくなります。
森に帰ってきたブラウンを、仲間たちはどのように迎えるのでしょうか。
光があふれるような絵が印象的な一冊です。
みんなみんないただきます
年に一度の感謝祭は、家族や親戚が集まる大切な日です。
ある一家の感謝祭の一日を通して、家族がいっしょに過ごせる喜びが描かれています。
表紙と裏表紙の家族写真のような絵が、おはなしを引き立てています。
わたしたちのたねまき -たねをめぐるいのちたちのおはなし
種をまくにはいろいろな方法があります。実は人間だけでなく、太陽の光や川の流れ、動物たちも種を運んでいるのです。
みんながそれぞれの方法で種をまき、植物の命をつないでいることが分かります。
詩・昔話
くまさん
春がきて目を覚ました子ぐまは、自分が誰だったのか忘れていました。
子ぐまは自分がくまであることを思い出せるでしょうか。
まどさんの詩の持つやわらかな雰囲気が、あたたかみのある絵によって表現されています。
おぼろ月のおさんぽ -銀色
銀色の月の光があたりを照らしています。
その光に呼び寄せられるかのように妖精や動物、子どもたちが集まってきて、パーティが始まります。
幻想的な世界が、詩と絵で描かれた絵本です。
あおいジャッカル -インドの昔話
染物屋の藍の大がめに飛び込み、全身が青色に染まったジャッカルは、森の動物から王とあがめられます。いい気になったジャッカルは自分の兄弟を森から追い出してしまいました。世界最古の子ども向け童話集といわれる、インドの「パンチャタントラ」の中の一話です。
生きる (日本傑作絵本シリーズ)
夏のある一日の風景に谷川俊太郎の詩が重なります。
描かれているのは何気ない日常の姿ですが、どの一瞬も愛おしいものに感じられます。
無意識のうちに過ごしてしまいそうな〈いま〉を胸に刻みながら読みたい絵本です。
ノンフィクション
チューリップ
球根から育ったチューリップが、美しい花を咲かせ、次の世代の新しい球根を作るまでを緻密な絵で描いた絵本です。
土の中で厳しい寒さにじっと耐え、成長するチューリップの姿に生命の強さを感じます。
すごいね! みんなの通学路 -世界に生きる子どもたち
世界には、川を歩いて渡ったり、高いがけをのぼったりするなど、苦労して学校へ通う子どもがたくさんいます。
子どもたちの生き生きとした表情が印象的な写真絵本です。
かがやく昆虫のひみつ (ポプラサイエンスランド)
鏡のように光る体をしているプラチナコガネなど、宝石のように美しい昆虫がいます。
輝く昆虫たちを、体の構造や生態などの簡潔な解説を付けて紹介しています。美しい昆虫たちの写真を眺めるだけでも楽しめる一冊です。
コウテイペンギン
夏が終わるとコウテイペンギンたちは南極大陸へ向かいます。
そして、パートナーを見つけ、卵を産み、ひなを育てます。
厳しい寒さの中、群れで寄り添い、協力しながら子育てをするコウテイペンギンの姿が、親しみやすい絵と文章で紹介されています。
ひらけ蘭学のとびら -『解体新書』をつくった杉田玄白と蘭方医たち
『解体新書』は、辞書もなかった江戸時代に、初めてオランダ語から和訳された解剖学書です。
日本の近代の夜明けを象徴するこの翻訳プロジェクトを、杉田玄白を中心に生き生きと描き出しています。
ぼくらがつくった学校 -大槌の子どもたちが夢見た復興のシンボル (感動ノンフィクションシリーズ)
岩手県の大槌小学校は、東日本大震災で大きな被害を受けました。
新しい校舎の建設には、被災した子どもたちが大きな役割を果たしました。
壮絶な経験をし、傷つきながらも、力強く成長していく子どもたちの姿を丁寧にとらえています。
スラムにひびくバイオリン -ゴミを楽器に変えたリサイクル・オーケストラ
パラグアイのスラム街で、10人の子どもたちから始まった音楽教室は、やがて、ゴミをリサイクルした楽器を演奏するオーケストラに成長します。
貧しさゆえに希望を持てなかった子どもたちが、音楽を通して誇りを持つようになるまでを実話を元に描いています。
ナビラとマララ -「対テロ戦争」に巻き込まれた二人の少女
パキスタン出身のナビラさんは、マララさんと同じように対テロ戦争の犠牲者です。ナビラさんは、8歳の時に戦争に巻き込まれました。
二人の少女の経験は、私たちに平和な世界をめざすには何が必要かを考えるきっかけを与えてくれます。
フィクション
ともだちのときちゃん (おはなしのまど)
小学2年生のさつきは、のんびり屋のときちゃんにイライラして、時々いじわるな気持ちになることがあります。
けれどもさつきは、ときちゃんがすてきな心の目と言葉を持っていることを知っています。
正反対な女の子どうしの、あたたかな友情物語です。
ぼく、ちきゅうかんさつたい
トモヤは「ちきゅうかんさつたい」の隊員一号です。
自分の周りで起こったことをしっかり観察して、隊長であるおじいちゃんに報告します。
おじいちゃんはトモヤに、大切なことをたくさん教えてくれました。
レイナが島にやってきた!
全校生徒36人の島の小学校に、4年生のレイナが転校してきました。個性的なレイナはすぐに人気者になりますが、みんなに隠していることがあるようです。同級生の優愛(ゆうあ)の目を通して、レイナと島の子どもたちが心を通わせていく様子が描かれます。
かわいいゴキブリのおんなの子メイベルとゆめのケーキ (世界傑作童話シリーズ)
ゴキブリの女の子メイベルは、人間の足に近づくな、などの3つのおきてを守って暮しています。
ある日、メイベルはアリのバーニスの女王様になりました。
食べ物を運んでくるというバーニスの申し出のために、メイベルはやっかいごとに巻き込まれてしまいます。
ひかり舞う (teens' best selections)
武家に生まれた平史郎は戦で父を亡くし、幼くして母とも別れ、縫い物師として生きていく決意をしました。
別れ際、母は平史郎に「慈しめよ」という言葉を伝えます。
その言葉は、平史郎を生涯にわたって導いていくことになります。
奮闘するたすく
小学5年生の佑(たすく)は、祖父の通う介護施設で仕事を体験することになりました。
親友の一平とともに、個性的な利用者たちを相手に奮闘します。
老いや死を目の前にして、戸惑いながら成長していく佑の姿が描かれます。
ファニー13歳の指揮官
第2次世界大戦下のフランスでは、ユダヤ人の子どもたちをスイスに脱出させる計画がありました。
計画に加わったファニーは、わずか13歳でグループのリーダーを任されます。多くの子どもたちを率いて国境を目指したユダヤ人の少女の、実話に基づいた物語です。
タイガー・ボーイ (鈴木出版の児童文学)
5年生のニールは、私立中学校への進学を期待されていますが、勉強に身が入りません。
そんなある日、保護区から逃げたトラの子を密売人から守るために奔走します。
厳しい自然環境や貧しさなどの問題を、ニールの成長とともに描いています。
僕は上手にしゃべれない (teens' best selections)
吃音のため、いつも話すことから逃げてしまう中学1年生の悠太は、自分を変えるために放送部に入部しました。
周囲の人の優しさにふれ、前に踏み出そうとする悠太の姿に心打たれます。
吃音症の少年の悩みや繊細な心の動きを丁寧に描いた物語です。
マイナス・ヒーロー
バドミントン部の羽野(はの)に、凪人(なぎと)は「アドバイザー」を依頼されます。目標は彼女を大会で優勝させること。
凪人はマネージャーとしてバドミントン部に入部しますが、次第に、反目しあっていた兄や部活の仲間との関係が変わっていきます。
こんとんじいちゃんの裏庭
中学3年生の悠斗(ゆうと)は、周囲の大人の態度にいつもイライラしています。
ある日、認知症を患った祖父が交通事故にあいました。
事故の状況を調べ始めた悠斗は、大人と向き合い、話をしていくうちに、大人への印象を変化させていきます。
緑の霧
魔法のルバーブ農園に暮す11歳のポリーは、植物や昆虫と会話することができます。
ある夏の日に発生した緑の霧が原因で、農園は危機を迎えます。
農園を救うことを決意したポリーは、自分の力を信じて行動することの大切さに気づきます。
木の中の魚 (講談社文学の扉)
読み書きが苦手な6年生のアリーは、周囲の人たちに自分を理解してもらえず苦しんでいました。
けれども新しく担任になったダニエルズ先生はアリーを認め、特別授業を始めます。
理解者を得て自信を取り戻していくアリーの姿に、勇気をもらえます。
オオカミを森へ (Sunnyside Books)
「オオカミ預かり人」である母が、ロシア帝国陸軍の兵士に逮捕されました。
フェオは母を助けるために、元兵士のイリヤといっしょにオオカミを連れて刑務所へ向かいます。
ロシアの雪の森を舞台に繰り広げられる、少女の冒険と成長の物語です。
わたしがいどんだ戦い1939年
足が不自由なために、母親から虐待を受けて育ったエイダ。
1939年、10歳のエイダは弟とともに戦時下のロンドンから田舎に疎開しました。
疎開先でのあたたかな人々との交流によって、彼女の閉ざされた心は徐々に解放されていきます。