おすすめの本 -新しく出た子どもの本から- 2021年
もくじ
絵本
びりびり
いろんな形や色のいろがみを破って、ひよこやうさぎに変身させてみましょう。子どもがクレヨンで描いたようなのびのびしたイラストと、「びりびり」「ぴっ」「ぴょん」など、音の響きが楽しい絵本です。読み終わったら、いろがみを破って遊んでみたくなります。
でんしゃくるかな?
くるかな?くるかな?きょろきょろしながら、みんなでなにかを待っています。電車です。好きなものを待つワクワクする気持ちやそれがやって来たときのうれしさは、みんなで分かち合うと倍増するのが不思議ですね。画面いっぱいに描かれた絵から楽しげな声が聞こえてくるようです。
きつねのぱんとねこのぱん
きつねのパン屋の望みは、世界一おいしいパンを作ることです。ある時、パンを買いにきたお星さまに「ねこのパン屋にはかなわない」と言われたきつねは、こっそりねこのパンを買いにいきました。きつねとねこのユーモラスなやりとりが楽しい絵本です。
だれがいちばん?がんばれ、ヘルマン!
黒いぶたのヘルマンは、毎日のんびりマイペースに過ごしています。誰かと競争することなどなかったヘルマンですが、ある日、にわとりたちの競争に巻き込まれてしました。誰かと比べる必要はなく、自分が自分らしくいることが一番大切だと気付かせてくれます。
おじさんのぼうしはどこいった?
農場のおじさんは、古くて茶色いすてきな麦わらぼうしを持っています。おじさんは自分のぼうしがお気に入りでしたが、ある日、強い風にとばされてしまいました。くりかえしによって進んでいくお話の楽しさを、表情豊かに描かれた絵が引き立てています。
気のいいバルテクとアヒルのはなし
ポーランドを舞台にした、昔話風の絵本です。貧しいバルテクは、カエルの王を助けたところから、不思議な力を授かります。ある日、唯一の友だちのアヒルが恐ろしい軍隊の大将に食べられそうになってしまいます。東欧らしい、落ち着いた絵も魅力です。
しずかな夏休み
夏休み、少年は両親とともに都会を離れて田舎の祖父母の家へと出かけます。少年の体験を絵のみで描いた絵本です。文字はなく、モノクロの絵で描かれていることで静けさが強調され、自然とのふれあいで得た少年の感動をより強く感じることができます。
ぼくは川のように話す
一見なめらかによどみなく流れる川も、実はあわだち、うずをまき、波をうち、…どもっている。そう、ぼくは川のように話せばいいのだ…。吃音の詩人が少年時代に体験した苦悩から生まれた言葉と、美しく迫力のある絵が見事に調和した感動的な絵本です。
ぼくはひとりで
「ぼく」は、雨季には地面が水におおわれてしまうベトナムの村に住んでいます。大人でも危険な道のりを、手こぎボートで通学します。途中で雨に降られたり、ワニの住む場所を通ったりと、まるで冒険のようです。世界の広さや多様さが美しく鮮やかな絵で描かれています。
昔話
詩・ことばの本
きょうものはらで
アメリカに伝わる数え歌をもとに、美しいコラージュで野原に暮らす生きものの親子を描いています。ページごとに異なる生きものが登場し、ページを一枚めくるたびに子どもの数が一匹ずつ増えていきます。何匹いるか数えながら読んでみてください。
ねむろんろん
北海道・根室を舞台にした言葉あそびの絵本です。根室の豊かな自然とその恵みを活かして生きる人々の様子が、力強い絵で表現されています。「ねむろんろんろん ねむろんろん」という言葉の繰り返しがリズミカルで心地よく、声に出して読むとより楽しめそうです。
ちしきの本
めぐりめぐる
渡り鳥のオオソリハシシギは、毎年、アラスカから南半球へと、約11,000キロも飛び続けます。その長い旅路が美しいコラージュで描かれています。旅の途中で羽を休め、食べ物をとるために立ち寄る湿地が、開発により減少しているという環境問題にも目を向けさせてくれます。
うまれてそだつ わたしたちのDNAといでん
すべての生きものは、生まれた時から持っている「設計書」に従って育ちます。その設計書は、一人ひとり違います。DNAや遺伝子の仕組みをやさしく解説した本です。自分がたった一人のかけがえのない存在であり、同時にすべての生きものとつながっていることを実感できます。
蛾 姿はかわる
「オオシモフリエダシャク」というイギリスに住む蛾は、うすい色の羽を持つものと、こい色の羽を持つものの2種類がいます。この本では、環境の変化に適応するために羽の色を変化させていった過程が分かりやすく描かれていて、「生き物の進化」への興味をかきたてられます。
ブタとともに
かつて養豚場を営んでいた上村宏さんの姿をとらえた写真絵本です。ブタとふれあうほほえましい写真からは、上村さんが愛情をこめてブタを育てている様子がうかがえます。この絵本を読んだ後には、食料となるブタや養豚農家の人への感謝の気持ちがわくでしょう。
聞かせて、おじいちゃん
森政忠雄さんは、小学校6年生の時に広島で被爆しました。孫に被爆体験を語ったことや母校での講演会をきっかけに、「原爆の語り部」になりました。戦争や原爆の悲惨な記憶を伝えることで未来の平和へつなげたいという信念のもとに活動する森政さんの姿が描かれています。
自然を再生させたイエローストーンのオオカミたち
アメリカのイエローストーン国立公園は、オオカミがいなくなったために生態系のバランスが崩れ、荒廃した時期がありました。1995年、オオカミを復活させ、イエローストーンを多様な動植物であふれる場所へと再生させる取り組みが始まります。生態系の大切さを知ることができる本です。
チバニアン誕生 方位磁針のN極が南をさす時代へ
千葉県の房総半島には、77万年前の北極と南極の入れ替わった現象「地磁気逆転」を観測できる地層があります。地質年代「チバニアン」はこの地層によって誕生しました。著者の岡田先生といっしょに、地層について学びながら太古の地球を巡る旅を楽しんでください。
学校では教えてくれないゆかいな漢字の話
この本では、漢字にまつわる、学校では習わない様々な話題が取り上げられています。漢字で書かれた外国人の名前のこと、漢和辞典の楽しみ方、漢字を使ったクイズなど、どの話題も興味をひかれるものばかりです。漢字は苦手と思っている人にこそ手に取ってほしい本です。
よみもの
オニタロウ
カキの木山に住むオニのオニタロウはやさしくて親切なので、動物たちの人気者です。ある時、お父さんのオニに子分を会わせることになってしまいます。オニタロウはカラスのカースケに相談して、子分を探しはじめました。お話の雰囲気によく合った挿絵も楽しめます。
くしゃみおじさん
荷馬車に乗ったおじさんが大きなくしゃみを3回すると、猫とウサギの耳が入れ替わり、犬と猫の鳴き声が入れ替わってしまいました。3匹は、元に戻してもらうためにおじさんを探しに出かけます。おじさんのくしゃみが巻き起こす大騒動が楽しいお話です。
ねこ学校のいたずらペーター
くろねこのペーターは小学校に行くことになりました。初めての体験にとまどい、いろいろ失敗しながらも、ペーターは毎日を楽しく過ごします。ところがある日、隣町で犬が逃げ出すという事件が起こります。元気なねこたちの愉快な日々がつづられています。
オンボロやしきの人形たち
子ども部屋に新しい人形がやってきたことで、古い人形たちと彼らの家はすみっこに押しやられてしまいました。燃やされることになった古い人形たちでしたが、明るく気立ての良い彼らのことが大好きな妖精の女王の手助けで運命が変わります。愛らしい挿絵も見どころです。
体育がある
小学4年生のあこは体育が嫌いです。そんなあこを歯がゆく思うママは、体育の特訓をしますが、あこは苦痛でたまりません。大好きなばあばが泊りにきてくれた時にも体育の特訓をすることになりますが…。体育を通して、あこと家族が自分自身を見つめなおす物語です。
町にきたヘラジカ
イバールとワイノがスキーから帰ると、イバールの家のうまやにおなかをすかせたヘラジカがいました。大人たちはヘラジカを追い出そうとは言うものの、どこかヘラジカに同情している様子です。ヘラジカを巡る人々の優しい心が伝わってきます。
ゴリランとわたし
児童養護施設で育った9歳のヨンナは、ある日ゴリラのゴリランに引き取られました。初めはゴリランを警戒していたヨンナですが、やがてゴリランが自分を尊重し大切にしてくれることに気づきます。ヨンナとゴリランが心を通わせお互いを大切に思う姿に、胸が熱くなります。
わたしのあのこあのこのわたし
小学5年生の秋には、モッチという友だちがいます。ある日モッチの弟に大切なレコードを傷つけられたことに腹を立て、秋はモッチにいじわるをしてしまいました。秋とモッチの二人の視点でお互いの心情が丁寧に描かれており、同年代の子どもたちの共感を呼ぶでしょう。
かはたれ 散在ガ池の河童猫
河童族の「八寸」は、人の目から身を隠す修行をするため、長老の霊力で猫に姿を変えて人間界へとやってきました。母を亡くしたばかりの少女・麻の家に住むことになった八寸ですが、ある日、河童の姿に戻ってしまいます。麻との交流と八寸の冒険が描かれています。
サマークエスト
ヒロキの父親は海で亡くなりました。でもなぜ父親が亡くなったのかを、大人は誰も教えてくれません。偶然手に入れた写真を手がかりにヒロキは一人で海をめざします。小学6年生のひと夏の冒険は少年を成長させ、大人たちのわだかまりも解くのでした。
風の神送れよ
優斗が住む地域では、毎年2月に子どもたちが地域中をまわって疫病神を集め、村外れに追い出す「コト八日行事」を行います。今年、優斗は頭取補佐を務めることになりました。気乗りがしない優斗でしたが、行事の由来や意味を知り、自分の責任を自覚するようになっていきます。
ベランダに手をふって
父を亡くし、母と二人で暮らす小学5年生の輝(ひかる)。登校時に手を振りあうのが二人の習慣でしたが、それを友達に見られ、からかわれてしまいます。クラスメイトの香帆との交流、運動会、従弟の誕生などの日常の描写を通して、少年の繊細な心情を描いています。
オレのジタバタ記
養鶏農家の庭で暮らす地鶏(じどり)の「オレ」は、ライバルとの争いや父さんの死、隣の家のオンドリとの決闘などを経験し、一族のリーダーになっていきます。軽妙な語り口ながら、一族内での順位争いや仲間の死や自身の老いの描写などには悲哀がにじみ、物語に奥深さを与えています。
ぼくの弱虫をなおすには
ゲイブリエルにはこわいものがたくさんありますが、一番こわいのは、5年生に進級することです。親友のフリータはゲイブリルの「弱虫」をなおす作戦を考えました。フリータといっしょにこわいものを克服しようとがんばるうちに、ゲイブリルは本当に大切なことに気付きます。
飛べないハトを見つけた日から
12歳のダリルは、公園で、翼が折れたハトを見つけました。自分でハトの世話をすることや学校の勉強をきちんとすることを条件に、両親からハトを飼うことを許されたダリルは、懸命に世話を続けます。一羽のハトとの出会いをきっかけに成長していく少年の物語です。
青いつばさ
仲の良い兄弟・11歳のジョシュと16歳のヤードラン。ジョシュは知的障害のあるヤードランをいつも守り、助けています。ある時、ケガをした鶴の子どもを群れに返そうと、二人だけで家を出ます。ジョシュの心の動きが丁寧に描かれ、兄弟や家族のきずなが胸に迫る作品です。
どんぐり喰い
主人公・クロが住むスペインは内戦が終わったばかりで、村の人たちの生活は苦しく、クロも学校をやめて働くことになりました。1943年から1951年にかけて、クロが8歳から16歳になるまでの8年間が描かれています。貧困の中にありながら、誇り高く力強く生き抜くクロの姿が印象的です。
海を見た日
同じ里親の下で暮らす3人の子どもたちはお互いを理解しあっていませんでした。新たに4人目の里子となった少年の「母親に会いたい」という願いをかなえるため、子どもたちは里親の家を抜け出します。次第に心を開き、「家族」になっていく子どもたちと里親の姿を描いた作品です。
境界のポラリス
中国生まれ日本育ちの高校1年生の恵子は、自分は何者なのかに悩んでいます。ある時恵子は、日本語教室で日本語を教えるボランティアに誘われました。懸命に日本語を学ぶ子どもたちと接するうちに恵子の意識が変わっていきます。異文化交流の難しさと理解しあうことの大切さを感じます。
見知らぬ友
髪を切りたくない「ぼく」に床屋のエリアスが話してくれた世界一強い男の話、淡水魚を通じて交流する少女と少年の話、クラス一の美少女の写真に隠された秘密などの短編が収められています。どの話も少し不思議で味わい深く、しみじみとした読後感があります。