ATLAS NOUVEAV(新世界地図帖)

ATLAS NOUVEAV(新世界地図帖)
アトラスヌーボー
ニコラ・サンソン編 1692年 パリ刊 64×50.3cm 銅版
サンソン図法で著名なフランス地理学の祖、二コラ・サンソン(1600~67)による世界地図帳。
標記は「ATLAS NOUVEAV」、1692年パリ刊となっているが、のちにオランダで刊行されたものとされる。
我が国にもたらされた最初の近代的な世界地図帖であり、地図96図、地名表20枚がある。
地図は本来全97図であったが、地中海部分が欠落している。
銅板に描かれた精緻な地図に、彩色の美しい大型本である。
福知山藩主、朽木昌綱(1750~1802)は蘭学勃興期の蘭癖大名として知られるが、オランダ商館長イサーク・ティチング(1745~1812)と親交があり、ティチングから蘭書を入手していたことが確認されている。
本書もその1冊で、扉絵にペン書自筆で「丹波の国主左門様へ、商館長ティチングより献呈、1780年11月6日」という献辞が記されている。
朽木昌綱の庇護を受けていた蘭学者、前野良沢(1723~1803)は本書をもとに天明2年(1782)に『與地図編小解』を編纂しているが、その際に良沢の付した付箋がそのまま残されていることも注目される。
(『與地図編小解』は現在、明治大学図書館が所蔵している)
経緯は不明だが前田家に伝来し、その後当館に保管されるに至った。